3年生時代 その⑩ ポケモン映画

子リスの映画館デビューは去年の夏休みでした。子リスと私でポケモンの映画を観に行ったのですが、その時にちょっとした事件がありました。これから最後のクライマックスというところで子リスがトイレに行きたくなり、「一人で行ける」と言うので半券を持たせて一人で行かせたところ、なかなか戻って来ません。結局そのまま映画は終わってしまい、エンドロールを待たずに私も外へ出ると、入り口の外で半券を持って佇んでいる子リスを見つけた…という経緯なのですが、問題はその後です。子リスがいてほっとしたのと、あんなに観たがっていた映画なのに、半券を係の人に見せることもせずにただ立っていた子リスが急に腹立たしくなり、私は30分以上も子リスを叱ってしまったのです。(2年生時代「ポケモン映画」)
 あれは今思い出しても私にとって苦い思い出です。その後、映画を観ながら飲むドリンクは控えめにすること、もしトイレに行く時には、私も必ず一緒に行くことにしたのでしたが、それでもやっぱり映画館は緊張する場所の一つではありました。それで、今年も万全にして、映画をクリアしよう!「大丈夫な場所」にしよう!と考えていました。

 そんな中、クラスのR君のお母さんが、子リスを映画に誘ってくれたのです。しかも、R君と、R君のお姉ちゃんと3人で、どう?と。 どうなんだろう?「子供達だけで映画館で映画を観る」なんて、子リスにとっては勿論初めてのことです。送り出す私にとっても同じこと。緘黙症であろうとなかろうと、また、他の特別な心配があっても無くても、子供が何か初めてのことをする時には、親なら誰でも不安を抱くものだと思います。勿論私にも、この「普通の不安」はありました。そしてやはり加えて、「去年みたいにトイレに行きたくなったらどうするんだろう?」「何か予想外のことが起きたら、どうするんだろう?」という心配もありました。何しろ苦い思い出が… 子リスに話すと、「行く」という返事。後日子リス本人から聞いたところによると、「どうしようかな、と迷ったことは迷ったけど、行ってみようと思った」のだそうです。子リスがそう言うなら行かせてみるしかありません。

 最終的に「行かせてみるか」という結論になったのは、R君とお姉ちゃんが一緒なら…と思えたからでした。 R君のお姉ちゃん(小学6年生)も、子リスの状態については知っていて、会うと自然に微笑みかけてくれたり、ちょっとくすぐってみたり、話しかけてくれたりしていました。そしてR君は一年生の時からずっと同じ教室で、毎日子リスと付き合っている仲間です。この姉弟なら何とかしてくれるだろう、という信頼がまずありました。それから、「子リスも彼らになら、何か困った時には(喋らないまでも)どうにかしてそれを伝えようとするだろう」、という安心。その両方がありました。

 そんな訳で、子リスはR君と、お姉ちゃんのAちゃんと3人で、ポケモンの映画を観に行くことになりました。 夏休み、子リスにとっての二つ目の“冒険”です。 この日の映画は、「劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール ギラティナと氷空の花束 シェイミ」。テレビで予告編を見てから、ずっと楽しみにしていた映画です。

  さて映画が始まり、R君のお母さんと私は、映画館が入っているショッピングセンターの中の喫茶店でコーヒーを飲みながら、おしゃべりをして過ごしました。
  子リスが日ごろからお世話になっていることは、いくら感謝してもしきれないのですが、そのことばかりを話すのは、これもおかしなことだと気づいた日がありました。 R君も、R君のお母さんも、子リスが話さない子だからつきあってくれているわけではないのです。それなのにこちらが、いつもその話ばかりをするのは、かえって申し訳ないし、興ざめでもあるのだろうと、思っていました。

 約1時間半の映画が終わり、映画館の入り口まで迎えに行くと、子供達は弾むように出て来ました。 どうやら今年の映画は途中でトイレにも行かず、最後まで観ることが出来たようです。 飲み物も控えめにしたのがよかったようで一安心。 「どうだった?」と子供たちに聞くと、R君とAちゃんは 「面白かった!」 と言い、子リスはニコニコ顔でそれを伝えています。

 「子リス君がね、こうやって笑ってたよ。」(口を手で隠して笑う様子を真似して見せるAちゃん。)R君は 「オレは子リスが笑う声聞いたよ!」 それを聞いて、「声出してない!出してない!」と口パクで訴える子リス。焦っていますが、でもとても楽しそうでした。

  映画館を出て、お腹のすいた子供たちとフードコートに行き、ラーメンを食べて帰りました。

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